翻訳しただけの広告は、なぜ反応が薄いのか?

日系企業や日本人経営のビジネスが盛んなオーストラリアでは、

日豪プレスのような現地日系メディアに広告を出稿することは重要なマーケティング活動の1つですが、

時々「高いお金を払って広告を出したのに、ぜんぜん反応がない!」という場合があります。

その原因の1つには、「ローカル用の広告を日本語に翻訳しただけ」というのがあります。

では、なぜ翻訳しただけの広告は集客できないのでしょうか?

客を選別する欧米の広告と皆に好かれたがる日本の広告

現地メディアに出稿した広告原稿のキャッチコピーを日本語に翻訳して、日系メディアに出稿するというケースは日系企業などによく見かけられることです。

その際には「ブランディングの統一性」などといった理由で「使い回し」が行われているのですが、残念ながら、こうした広告では、消費者の反響を得るのは難しいでしょう。

なぜならば、欧米と日本のブランディング広告の手法はかなり違うからです。

例えば、日本のクライアントは、広告で商品や会社のイメージを良くすることをメインに考える傾向にあります。

つまり、日本の広告は「みんなに好かれたい広告」です。

そのため、人気タレントを起用したり、とにかくポジティブなコピーや明るいイメージを植え付けたがります。

しかし、欧米の広告の考え方は違います。

欧米の広告制作では、しばしば「Attitude(態度/考え方/姿勢)」という言葉が使われますが、これは企業や商品がどんな考えや姿勢で成り立っているかを表そうとするものです。

極端に言えば、「企業や商品の考え方や姿勢(コンセプト)に合わない人は買ってもらわなくていい」とお客様を選別する意向を示すものです。

これを明確化することで、その商品の真の価値が高められるというのが欧米のブランディング広告の考え方です。

このように日本のブランディング広告とは、まるで正反対なのです。

コツは「継続」と「考え抜くこと」

ですから、ローカル・メディアに掲載した英語の広告原稿を日本語に翻訳しただけでは、日本人にはピンと来ないので、反応が出ないのです(逆の場合も然り)。

また、「地域密着型の紙メディア」では、広告代理店を通じて制作を行うケースが少ないので、クライアントが自らアイデアを出さなければいけない場合も多々あります。

そういう時に、「翻訳した広告でいいや」という心意気では、反応が出るはずもありません。

その商品やサービスの価値を日本人の心にしっかり届けるには、やはり一から広告制作に向き合う必要があります。特にブランディングを高めたいという企業や店舗の場合は、写真、コピーに心血を注ぎたいところです。

反応の出る広告の制作方法は、業種やターゲットによってさまざまですが、迷った時は、

  1. キャッチコピーから考える
  2. キャッチコピーに合う(または関連する)写真を撮る(探す)

という順番で作ってみてください。

また、キャッチコピーは「本屋さんのPOP」が良いヒントとなるでしょう。

そして、ブランディングで重要なのは継続することです。

商品や企業名を読者の記憶に残すには、インパクトのある刺激的な広告を単発するよりも、

地味でも長期継続の方が結局、反応が上がりやすくなります。

そういう意味では、本当は一から広告を出稿するメディアを選別することから真摯に考えなくてはなりません。

広告費用は決して安いものではありませんが、うまくハマった場合には、本当に考えられないような売上アップを可能にしてくれるので、ぜひともじっくりと取り組んでほしいところです。