【概 要】
1人で事業を回していると、リサーチも執筆も戦略立案も、すべて自分の頭の中で切り替えながらこなすことになります。 私自身、当サイトの運営で「今日はキーワード調査の日」「今日は執筆の日」と役割を切り替えるたびに、前日の文脈を思い出すだけで30分近く溶けていく感覚がありました。
この「頭の切り替えコスト」を減らすために取り入れたのが、Claude Codeのサブエージェント機能です。マーケター・ライター・戦略コンサルといった役割ごとにAIを定義しておき、必要なときに仕事を振る。いわばファイル数枚で作れる「AI社員チーム」です。
この記事では、現暗号資産ニュースメディア編集長として編集部の分業体制を見てきた私が、その経験を1人起業向けに落とし込んだサブエージェントの作り方を、設定ファイルの中身・指示の出し方・出力の受け取り方まで手順として整理しました。最初に役割定義を雑に書いて、まったく呼ばれないエージェントを量産してしまった失敗談も書いてあります。
【目 次】
1. Claude Codeのサブエージェントとは何か
「専用の作業部屋」を持ったAIアシスタント
Claude Codeの公式ドキュメントでは、サブエージェントは特定のタスクを担当する専門のAIアシスタントと説明されています。ポイントは次の3つです。
- それぞれが独立したコンテキスト(会話の記憶領域)で動く
- 役割ごとに専用のシステムプロンプト(指示書)を持たせられる
- 使えるツール(ファイル読み込み・Web検索など)を役割ごとに制限できる
そして、サブエージェントが作業を終えると、メインの会話には最終結果(要約)だけが戻ってきます。 調査ログや大量の検索結果がメインの会話を埋め尽くさないので、長い作業でも「親」のClaudeが話の筋を見失いにくくなります。

編集部にたとえると、編集長(メインのClaude)が記者やリサーチャーに仕事を振り、上がってきた原稿だけを受け取るイメージです。編集長の机が資料の山で埋まらない、というのが最大のメリットだと感じています。
Agent Teamsとの違い
当サイトでは以前、Claude Code Agent Teamsで「AI社員チーム」を作る実演ガイドという記事も公開しました。Agent Teamsが複数のAIを同時並行で動かして協働させる仕組みなのに対し、サブエージェントは1つずつ役割を呼び出して仕事を振る、より基本的な仕組みです。まずはサブエージェントで「役割を定義して任せる」感覚をつかんでから、チーム運用に進む順番をおすすめします。
2. なぜ1人起業に「AI社員チーム」が効くのか
1つの会話に全部を詰め込むと、AIも人間も混乱する
サブエージェントを使う前の私は、1つのチャットの中で「キーワードを考えて」「構成を作って」「本文を書いて」「戦略的にこれで合っているか見て」と、立て続けに依頼していました。すると会話が長くなるにつれて、最初に伝えた前提(ターゲット読者や文体ルール)が薄れていく現象が起きます。
人間の編集部でも、1人の記者に企画・取材・執筆・校閲をすべて任せると品質がブレます。だからこそ編集部には役割分担があります。AIにも同じ発想で「役割ごとに部屋を分ける」と、出力の安定感が明らかに変わりました。
役割を分けると「自分の判断」に集中できる
役割を切り出しておくと、私の仕事は「誰に何を振るか」と「上がってきたものを判断すること」に絞られます。1人起業でいちばん貴重なのは自分の判断時間なので、作業ではなく判断に時間を使える構造を作ることが、AI社員チームの本当の価値だと考えています。
3. 準備:Claude Codeを使える環境を整える
料金プランの目安
Claude Codeを使うには、Anthropicの有料プランかAPI利用が必要です。執筆時点で複数の解説記事が報じている米国向け表示価格は、Proが月額20ドル、Maxが月額100ドル(Pro比5倍の利用枠)と200ドル(同20倍)です。料金や利用上限は改定されることがあるため、契約前に必ず公式の料金ページで最新情報を確認してください。
私の感覚では、サブエージェントを3人程度で回す程度ならまずProで始め、利用上限にたびたび当たるようならMaxを検討する、という順番で十分です。AIツールへの課金をどう判断したかは、AIツールに月3万円を投資して3か月検証した全記録で数字込みで公開しています。
インストールがまだの方へ
Claude Code自体のインストールやターミナルの基本操作に不安がある方は、非エンジニアの私が環境構築でつまずいた過程をまとめたClaude Codeで非エンジニアがWordPress自動投稿に挑む【前編】から読んでいただくとスムーズです。
4. 手順1:サブエージェントの設定ファイルを作る
ファイルの置き場所は2種類
サブエージェントは、YAMLフロントマター付きのMarkdownファイル1枚で定義します。置き場所は主に次の2つです。
| 置き場所 | 使える範囲 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| `.claude/agents/`(プロジェクト内) | そのプロジェクトだけ | ブログ運営など特定の事業専用の社員 |
| `~/.claude/agents/`(ユーザー全体) | すべてのプロジェクト | どの仕事でも使う汎用の社員 |
私はブログ用の作業フォルダ内に `.claude/agents/` を作り、事業ごとに社員を分けています。同じ名前のエージェントが両方にある場合は、プロジェクト側が優先されます。
フロントマターの基本項目
最低限必要なのは `name` と `description` の2項目だけです。よく使う項目を整理すると次のとおりです。
- name:エージェントの識別名(半角英数とハイフンが無難)
- description:「どんなときにこの社員を呼ぶか」の説明。Claudeが仕事を振る判断材料になる
- tools:使ってよいツールの許可リスト(省略すると基本的にメインと同じツールを使える)
- model:`sonnet`・`opus`・`haiku` などのモデル指定、または `inherit`(メインと同じ)
なお、作成方法はClaude Codeのバージョンによって画面が変わることがあります。いちばん確実なのは、Claude Codeに「マーケター役のサブエージェントを作って」と頼むか、自分でファイルを直接書く方法です。
ここまで読んで、ちょっと難しいなと感じた方は、DMM 生成AI CAMP 学び放題のようなスクールで学ぶのもひとつの方法です。独学だと実践で使えるまでにかなり時間がかかりがちですし、AIの進化は早く、学ぶべきことも加速度的に増えています。体系立てて学べる環境があると、遠回りを減らしやすくなります。
5. 手順2:マーケター・ライター・戦略コンサルの役割を定義する
ここからが本題です。私が実際に使っている3人の定義を、骨格がわかる形で紹介します。
マーケター(キーワード・競合調査担当)
“`markdown
name: marketer description: 新しい記事のキーワード選定、検索意図の分析、競合記事の調査を行うときに使う。記事執筆の前段階で必ず呼ぶ。 tools: WebSearch, WebFetch, Read model: sonnet
あなたはアフィリエイトブログのWebマーケターです。 与えられたテーマについて、以下を調査して報告してください。

- 想定読者と検索意図(顕在ニーズ・潜在ニーズ)
- 上位記事に共通する見出しと、上位記事に足りない情報
- 成約につながりそうな商材カテゴリ
推測と事実は必ず分けて書き、未確認の数値は書かないこと。 “`
マーケターにはファイル編集の権限を与えていません。 調査役が勝手に原稿を書き換えないようにするためです。
ライター(執筆担当)
“`markdown
name: writer description: マーケターの調査結果をもとに記事本文を執筆するときに使う。 tools: Read, Write, WebSearch model: inherit
あなたは元雑誌編集者のライターです。文体はですます調。 著者の実体験・失敗談を必ず1箇所以上入れ、太字は見出しごとに1〜2箇所まで。 最新の料金や統計は執筆時に検索して確認し、確認できなければ書かないこと。 “`
実はこの記事を含め、当サイトの記事下書きは、このライター役と同じ発想で作った執筆専用エージェントが担当しています。文体ルールや表記ルールを指示書に書いておけば、毎回プロンプトで説明し直す必要がなくなります。
戦略コンサル(レビュー・判断材料担当)
“`markdown
name: strategist description: 記事や企画が事業目標に合っているかレビューするとき、優先順位を決めたいときに使う。 tools: Read model: opus
あなたは個人事業専門の戦略コンサルタントです。 渡された原稿や企画について「収益への貢献」「既存記事との重複」 「今やるべきか」の3点で評価し、改善案を最大3つに絞って提案してください。 決定はしないこと。判断材料を出すのが役割です。 “`
戦略コンサルには「決定はしない」と明記しています。 最終判断まで任せると、自分が事業の方向性を把握しないまま物事が進んでしまうためです。
6. 手順3:AI社員への指示の出し方と出力の受け取り方
呼び出し方は3通り
公式ドキュメントで案内されている呼び出し方は、主に次の3つです。
- 自動で振ってもらう:依頼内容と `description` が合えば、Claudeが自動で担当を選ぶ
- 名前で頼む:「marketerのサブエージェントを使って、このテーマを調査して」
- @メンションで指名する:`@` を入力して一覧から選ぶと、確実にそのエージェントが動く
慣れないうちは2か3で明示的に指名するほうが、どの社員が何をしたのか追いやすくおすすめです。

指示には「前提」を必ず書く
ここが一番大事なポイントです。サブエージェントは、メインの会話の履歴を見ていません。 公式ドキュメントにも、サブエージェントは新しいコンテキストで起動し、それまでの会話やメインで読んだファイルは引き継がれないと書かれています(プロジェクトのCLAUDE.mdは読み込まれます)。
そのため、指示は次のように「単体で読んでも分かる」形にします。
“` marketerに依頼: テーマ「Claude Code サブエージェント 使い方」。 想定読者は30〜40代の1人起業家で、プログラミング経験なし。 結果は docs/research.md に書き出せるよう、見出し付きでまとめて報告して。 “`
出力の受け取り方(実際の流れ)
私の実際の運用は「マーケター→ライター→戦略コンサル→自分」の順番です。流れを再構成すると、次のようになります。
- マーケターの報告:想定読者の検索意図、上位記事に共通する見出し、上位記事にない切り口(例:「失敗談」や「役割定義の具体例」が少ない)が箇条書きで返ってくる
- ライターの下書き:マーケターの報告を渡すと、指示書のルールに沿った本文がファイルとして保存される
- 戦略コンサルのレビュー:「既存記事との重複が大きい見出し」「成約導線が弱い箇所」など、改善案が3つ程度返ってくる
最後に私が、レビューを見ながら自分の体験談を足し、採用する改善案を決める。AI社員がいくら優秀でも、この最終工程だけは手放さないようにしています。
7. 私がつまずいた失敗談:「呼ばれない社員」と「越権する社員」
失敗1:descriptionが曖昧で、まったく呼ばれなかった
最初に作ったときは、description に「マーケティングを担当します」としか書いていませんでした。その結果、キーワード調査を頼んでもClaudeがマーケターを呼ばず、メインのClaudeが自分で調べ始めることが何度もありました。
descriptionは、Claudeが「この仕事は誰に振るべきか」を判断する材料です。「どんな依頼のときに呼ぶか」「どの工程で使うか」まで具体的に書き直したところ、自動で振ってもらえる頻度が目に見えて上がりました。
失敗2:権限を与えすぎて、調査役が原稿を書き換えた
もう1つは、tools を省略したまま運用していたことです。マーケターに「この記事の競合を調べて」と頼んだら、親切心なのか、調査結果をもとに既存の原稿まで書き換えてしまったことがありました。幸い元の原稿は手元に残っていましたが、以来、役割に必要なツールだけを tools に明記するルールにしています。
どちらの失敗も、人間の組織でいえば「職務記述書があいまい」という問題です。編集部で新人に仕事を頼むときと同じく、役割と権限の線引きを最初に文章にしておくことが、AI社員チームでも一番効きました。
なお、社員ごとの成果物や依頼履歴は、Notionのデータベースで管理するとあとから振り返りやすくなります。私の管理方法は副業ブログを「AI×Notion」で管理したら挫折しなくなった理由にまとめています。
8. まとめ:AI社員チームを作るチェックリスト
最後に、サブエージェントでAI社員チームを作る手順をチェックリストとして整理します。
- 環境:Claude Codeが使える有料プラン(またはAPI)を用意し、料金は公式ページで最新を確認する
- 置き場所:事業専用なら `.claude/agents/`、汎用なら `~/.claude/agents/` に置く
- description:「どんな依頼のとき・どの工程で呼ぶか」まで具体的に書く
- tools:役割に必要なツールだけを許可し、調査役には編集権限を与えない
- 指示書:文体ルール・禁止事項・「推測と事実を分ける」などの品質基準を書いておく
- 依頼文:サブエージェントは会話履歴を見ないので、前提を毎回書く
- 最終判断:体験談の追加と改善案の採否は、必ず自分で行う
AI社員チームの価値は、作業の自動化そのものより「自分が判断に集中できる構造」を作れることにある、というのが当サイトで運用してみた実感です。まずはマーケター1人からでも作ってみて、「役割を分けて任せる」感覚をつかんでみてください。
FAQ
プログラミング経験がなくてもサブエージェントは作れますか?
作れます。サブエージェントの実体は、項目名と指示文を書いたMarkdownファイル1枚です。自分で書くのが不安なら、Claude Codeに「こういう役割のサブエージェントを作って」と頼めば、ファイルごと作成してくれます。
サブエージェントは何人まで作れますか?
ファイルを置いた数だけ定義できますが、最初は3人程度に絞ることをおすすめします。役割が増えるほどdescriptionが重なりやすくなり、Claudeがどの社員に振るべきか迷う原因になるためです。
Claude ProプランとMaxプラン、どちらを選べばいいですか?
まずはProで始め、利用上限にたびたび達するようになったらMaxを検討する順番で十分です。料金や利用枠は改定されることがあるため、契約前に公式の料金ページで最新情報を確認してください。
サブエージェントは前の会話の内容を覚えていますか?
覚えていません。サブエージェントは新しいコンテキストで起動するため、メインの会話の履歴は引き継がれません。プロジェクトのCLAUDE.mdは読み込まれるので、共通ルールはCLAUDE.mdに、個別の前提は依頼文に書くのが確実です。
Agent Teamsとサブエージェントはどちらから始めるべきですか?
サブエージェントから始めるのがおすすめです。1人ずつ役割を定義して仕事を振る経験を積んでおくと、複数のAIを協働させるAgent Teamsに進んだときも、役割設計で迷いにくくなります。