紙媒体とWebを上手く融合させるヒント

先日、朝のラッシュアワーに電車に乗ることがありまして、

僕が座っていた座席の正面で、

新聞をおっぴろげて読んでいるオジサンがいたんですね。

その横にいたOL風の女性、明らかに

「狭い車内で、新聞おっぴろげてんじゃねーよ、うぉらぁぁぁ!」

っていう顔をしていたんです。

最近あまりこの光景を見ないなぁと思っていましたが、

そのオジサン、KYなのかなんなのか、

我関せずといった調子で、ばさばさと新聞をめくっているわけです。

業を煮やしたのか、その女性、降り際に吊革から手を離すふりして、

バサリ!

新聞を手で振り払って降りて行きました。

おー、最近の女子は強いですな~。

っていうKYオヤジの話はおいといて。

 

新聞は今や“スマートフォンやケータイで読む物”と化しています。

もちろん、電車で新聞を読んでいる人は今でもいますが、

かなり減ったのは事実です。

活字好きの僕としては、やはり新聞の方がいいですね。

でも、新聞や雑誌などの出版不況は、依然とどまるところをしらない状況です。

出版出身の僕としても、なんとも悲しいものです。

 

特に米大手のトリビューン社が経営破たん(2008年)した時は、

出版業界関係者は「いよいよ紙媒体の終焉か!?」と

震え上がったんじゃないでしょうかね。

特に新聞社は、純粋に新聞事業だけで業績が好調という企業は

世界中で1社もないといっても過言ではありません。

 

現在の新聞社や雑誌社は、

刊行物以外のさまざまなサービスで経営を維持しようと努力をしています。

その中でも、

15年ほど前から各出版社は、

Webからファンを集め、紙媒体を購読させることを目的に、

媒体ごとの公式サイトなどをこぞって立ち上げました。

しかし、結果的に言えば、

どれも失敗に終わっているというのが実情でしょう。

日本で堅調なのは、

「進研ゼミ」のベネッセ、

「クロスメディアコンテンツ」をもつ角川グループ

くらいじゃないでしょうか。

 

新聞・雑誌が売れない原因の1つに、Web事業の失敗があることに気付くべきである。

なぜ、出版社のWebサービスは失敗するのか?

それは端的にいえば、Web媒体と紙媒体を「メディア」という一括りにしてしまい、

各メディアの特性を活かせていないからです。

分かりやすく言えば、

  • 紙媒体を見ても公式サイトを見ても、コンテンツがほぼ一緒

  • Webは紙媒体の焼き直しにすぎない

ということを、いまだに続けているからです。

よくあるのが、記事の一部または全部を無料でWeb上で読ませる方法。

これでは、無料で閲覧できるwebに読者が流れ、

紙媒体は購読しないというのは自明の理ですよね。

そういう媒体が多いのには少々驚かされます。

 

こうした手法を取るのは、

バナーなどのWeb広告で収益を上げようとするからですが、

米国の広告会社の調査では、

「6割以上の人がインターネット広告を無視する」

という報告があり、

テレビや新聞の広告よりも断然「無視される」

ということが明らかになっています。

そのため、

読者は紙媒体を買わず無料のネットに流れ、
さらに、Webでも広告収入を上げられない。

という負のスパイラルに陥いるわけです。

おまけに、企業のWebは思ったよりもコストがかさむため、

やればやるほど経営を圧迫する。

 

では、どうすれば良いのか?

メディア接触時間では、新聞・雑誌に比べてインターネットは
新聞の約6倍、雑誌の約8倍に長い。

そこにヒントがあると考えられます。

接触時間の長さは、要するに、どれだけ記事を読みこんでいるか

ということです。

雑誌などはペラペラとめくることが多いため、差が大きく開くわけですが、

メディアは当然、接触時間が長いほど広告効果は高くなります。

さて、この接触時間の長いネットを、

どのように紙媒体と融合させるかのヒントを

端的に挙げていきます。

(詳細は書ききれないので、問い合わせてほしいのですが)

  • 紙媒体の記事関連のイメージ動画を制作

  • Webは「即時性」、紙媒体は「より深い知識」

  • 「続きはWebで」の思考を逆転

  • 読者プレゼントのネット応募を中止

  • 過去記事閲覧の会員制は、実は紙媒体に誘引

  • 「リアルに販売する」がテーマ

  • ネットのオリジナル・コンテンツを再考

  • スマートフォン限定コンテンツの配信

と、とりあえず列挙してみましたが、

Webと紙媒体とで同じことしてちゃぁ、ダメダメ

をコンセプトに考えれば、

まだまだ出てくると思います。

もし、あなたの媒体が、その「地元」で人気の総合誌なら、

紙媒体の可能性はまだまだ捨てたものではありません。

Webを活用して、紙媒体の収益を向上させるには、

「地元」というキーワードは強みになります。
(全国紙だと意味ありませんが)

Webなども利用して、いろいろサービスは実行しているのに、

収益があまり上がらない

という企業があれば、一度、参考にしてみてくださいね!