売れる魔法の言葉「無料」はコストなのか

この記事は、日豪プレスで連載中のコラム「楽笑マーケティング」よりお送りしています。

販促上のテクニックの1つとして、“売れる魔法の言葉”というのがあります。

3大売れる魔法の言葉は、「無料」「限定」「簡単」と言われていて、

これらはお客様に対してこれ以上はないというくらい明確かつ簡潔にメリットを伝えられる言葉です。

その中でも「無料」という響きはとても強力で、

いたるところで使用されていますが、

さて、実際に「無料」という販促を実践した場合、

売り手にデメリットはないのでしょうか?


 

売れる魔法の言葉「無料」はコストなのか

 


原価のカラクリを知っておけば、無料販促は怖くない

 

例えば、紳士服店などで見かける「2着目は無料!(Buy one, Get one free!)」という場合には、

2着分を半額にするわけですから、本当に儲かるの?と思ってしまいます。

しかし、紳士服などの大量生産された製品の原価率というのは、

日本の場合で10〜15%の間が相場で、実際には半額でも利益は上がります。

ですので、お店側はセールを頻繁に行い、ガンガン集客する必要があります。

同時に、服飾店などではワゴンセールなどのフロントエンド商品と

本当に買ってほしい商品であるバックエンド商品を分けているはずですから、

ワゴンセールと絡めた「2着目無料」といった無料販促は、

どんどん行うことで、在庫整理や商品流通を活性化させることができるのです。

ザッポスに学ぶ「無料」のサービス精神

 

Zappos.com

靴の通販最大手である米国企業「ザッポス」

靴の通販最大手である米国企業「ザッポス」は、

「返品時の送料も無料」というサービスで一躍大手になったことで有名です。

”Delivering Happiness”(幸せを配達)を経営理念にした、

徹底した顧客サービスが人気の秘密ですが、

まるで返品を奨励するかのような無料サービスで本当に儲かるの?

と思う人もいるかもしれません。

しかし、よく考えてみてください。

例えば、好みの靴というのは、

手にとってみないと分からないものですよね?

返品が無料なら、

とりあえず第3候補まで取り寄せて、

本当に気に入った1足を残して2足は返品すればいいのだから、

顧客側は購入しやすくなります。

しかも、この返品無料を行うことでどういうことが起きるかというと、

なーんとなんと、返品率が高いのに収益が伸びるという

これまでのマーケティングの常識を覆すことになったのです。

これはザッポスがひたすら顧客に感動を与えることを徹底してきたからこそ確立できたサービスで、

現在では靴の通販業界では主流のサービスとなっています。

昔は、「タダより怖いものはない」なんて言いましたが、

販促のイロハを勉強すれば、

「無料」の販促がいかに重要かが分かってきます。

「無料にするにはコストがかかるのだ!」なんていう考え方が古くなったこの時代。

皆さんもぜひ無料サービスを行っている企業に着目してください。

きっとその企業は優良企業だと思いますよ!